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祖父が40万円の健康機器を買った件

投稿日: 2016年12月26日 1:38

タイトル通り、祖父が40万円する健康機器を買ったことが発覚したのでメモとして記す。
極楽仙人II

機器について

トップラン社(大田区,福岡市)が製造販売元の極楽仙人IIという製品で、足をのせ低周波で足裏を刺激することで「肩こりの緩解、麻痺した筋肉の萎縮の予防及びマッサージ効果、電気マッサージとして(トップラン社サイトより)」の効果や使用法が期待されているものであり、メーカー希望小売価格は税別で39万8千円となっている。祖父の契約ではオプションのフットジェルも込で税込37万8千円となった。
取扱商品・極楽仙人シリーズ|株式会社トップラン -TOPRUN CO,.LTD.-

機器そのものは中国製で、裏側を見るとTechnoPLAS社(深セン)が製造したとのことで、トップランが設計まで行ったものをTechnoPLASが委託製造したものと考えられる。
加えて極楽仙人IIは管理医療機器としての認証も受けており、このためトップランは上ページにて「医療機器のため販売や修理に関して何らかの届出など薬事法に則った環境が必要」と警告している。

販売経路について

祖父談で、自宅にやってきたセールスマンの話を聞いていたら、自分も身体が悪いので何らかの効果に期待して、その場で印鑑を押し内金の5万円を支払い、後日残りの金額を納めた、とのこと。
なお購入時期からしばらく経っているため、クーリングオフの対象外であった。

実際に自宅まで持ってきたセールスマンの名刺や請求書などを確認すると、フリーダム社(福岡市博多区)のSという人間だということがわかった。が、フリーダムについて検索してみても情報量が少ない。

まずは法人番号が何であるか国税庁のサイトを叩いてみると、登記されているので番号は出てくる。興味深いのは最終更新日が平成28年7月28日となっていて、それ故か新設法人.comといった新設法人情報サイトにも登録されており、設立間もない会社なのだろうか。
株式会社フリーダムの情報|国税庁法人番号公表サイト
株式会社フリーダム(福岡県福岡市博多区) | 新設法人リスト情報サイト | 新設法人.com

 

ほかの情報として、仕方ないので求人情報を中心に見ていると、募集案件が一件ヒットした。
あつまる★求人転職 「株式会社 フリーダム 福岡本社」 (archive)

博多区内に同名の会社はいくつか存在するが、Sの名刺の住所と同一なのでこの求人の会社と考えても良さそうだ。

しかしこの事業で謎なのが、同時に募集している「男女健康アドバイザー(幹部候補生)」が「アポイントのとれた客の自宅に訪問し当社商品の販売」を行うそうだが、フリーダムでは電話での勧誘は行ってないとのことだ。ではどうやってこれまで接点の全くない客にアポ取っているのだろうか?メールなど手段としてはいくつか考えられるが、その点が不思議でしかならない。

極楽千人商法

当機器、新車の125ccバイクが余裕で買えられるほど高額であるから(俺も30万あればPCX欲しいわ)、Twitterで検索してみると訪問販売にやられてしまったというポストを拾い出すことは残念ながら容易だった。

https://twitter.com/KikkoDragons3/status/749892853552132096
https://twitter.com/renren0454/status/711101075474898944

そして何らかの理由で使われなくなった極楽仙人がヤフオクにも出品されている。相場としては1万円~3万円程度で、この程度の金額なら実家の両親にプレゼント、ということも比較的容易な価格帯だと思うし、中には「30万円で購入しました」の割に15分の1で落札されているのもあったりして泣けてくる。

フリーダムが祖父に売った極楽仙人IIの契約の流れで、とにかく高額な点を除けば、気になる点はあまり感じられないし、38万円は祖父個人の貯金なりから支出している。このため、本音は「売りつけられた」という気分だが、中立性を欠くので本記事では「売った(ことが発覚した)」という表現としている。
しかしながら、ご存知のように高額な商品を訪問販売で売るということは違法な行為が行われることもあり、極楽仙人を取り扱っていたいくつかの業者が特定商取引法に基づく業務停止命令を受けている

日付 処分権者 処分先 業務停止期間 リンク
2010年 福岡県 株式会社ジャパン・ヘルスケア (福岡市博多区) 2010年2月20日より3ヶ月 [1] (整理中)
2015年11月24日 中国経済産業局
岡山県
広島県
株式会社正夢 (久留米市) 2015年11月25日より6ヶ月 [1] [2] [3]
2016年3月9日 長野県 株式会社ファインティ (松本市) 2016年3月10日より3ヶ月間 [1]

高額な訪問販売から身を守るには

一般的な訪問販売への対策として、ALSOKは以下のようなものが有効としている;

突然の訪問や電話による勧誘があった場合、一呼吸おいて冷静になってから対応するようにしましょう。特に訪問販売は、家の中に入られると断りににくくなるため、訪問販売員を中に入れないことが大切です。対応はインターホン越しで、玄関のドアを開ける場合もチェーンをかけた状態で、隙間から話すことをおすすめします。 (中略)

それでも、商品等の購入契約をしてしまった後に「しまった」と思ったら、以下のような対処法を試してみてください。

●クーリング・オフ
訪問販売や電話勧誘販売などで商品等の購入契約をした後でも、解約することができます。期間に制限がありますので、早めに手続きを行いましょう。訪問販売の場合は、契約書を受け取ってから8日以内です。

●あわてて支払わない
変だな……と思ったら、工事が完了しても、契約通りの工事がされているかを確認するまでは代金を全額支払わないようにするのも一つの防衛策です。

●相談する
悪質な訪問販売で困ったときには、最寄りの警察署の相談窓口や警視庁総合相談センター、または市区町村の消費者相談窓口、消費生活センターなどに相談しましょう。

訪問販売│高齢者・シニア向けコラム│ホームセキュリティのホームアルソック より引用

祖父は耳が悪く、通常の電話で会話をするのもやっとという状況なのにもかかわらず、どういうわけか契約ができてしまっているのもおかしいのだが、独居の高齢者とはいえ成人として様々な権利もまた認められてしかるべきだとは思う。以前から通販のDMが大量に届いており、高額な請求も身構えていないわけではなかったが、実際に取り返しのつかない時点まで進んでいると家族からして、これまで手を打てていなかったのは大変悔しい。